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頭で考えてどうのこうのと言うよりも
肌というか、空気感が合うことが大切

RELEACE 2017.08.10

田辺竜太(たなべ りゅうた)  profile...

田辺竜太
19歳で出会ったスノーボードにはまり、スケボーやサーフィンなどの独特な世界観に魅了される。
そこで培った感性をベースに2017年4月、サインペインターとして独立。シールやステッカーにはない、塗料の厚みや微妙な線のラインなど、手描きならではのハンドメイド感を生かした魂のこもったペイントを手がける。

第4回目となる「トークセッション」は、この4月に独立したばかりのサインペインター・田辺竜太さん。出会いのきっかけは佐野が新しく始めた「4xC」のコンテナにイラストを手描きしたこと。新しく仕事を始めること、これからの目標など、同世代ならではのリアルな話が飛び出しました。

佐 野 | 知り合ってまだ3カ月ですが、会ってすぐに4xCのフラッグ、コンテナのペイントなどを依頼したんですよね。仕事を受けてもいいなと思った理由は何ですか?

田辺さんが描いた4×Cの旗
田 辺 | 人と合う、合わないは結局のところ、バイブスが一緒というか。頭で考えてどうのこうのと言うよりも、肌というか、空気感というものが大切で、佐野さんと会って同じ生きものなんだなというのは感じましたね。

佐 野 | 最初、田辺さんと話をしていて、本当に絵を描くことが好きなんだなと分かったんですね。作品を見たことはなかったけど、きっとこの人の描く絵は面白いんだろうなと思った。独立してやろうぜって思ったのは、いつぐらいから?

田 辺 |  5年前にサインペインティングと出会ったときは独立するなんて考えてなくて、気持ち的には2年くらい前かな。それこそ息子が高校に入学して、卒業したらどう働くってのが見えだしてきた。やっぱり親父として、俺みたいな仕事をしろって言いたいというか、お父さんみたいな感じになったら最高だぜって言える仕事をしたいなと思ったのが大きい。もちろん今までしていたお店の仕事も同じような気持ちだったんですけど。

佐 野 | 昔から描くのが好きだったの?

田 辺 | アーティストって小さい頃から描くのが好きだったとかあるけど、俺は自分から書きたいとかそんなのはなくて、仕事で描く必要があってシャシャッと描くと上手くて、俺イケてんなと(笑)店内POPでSALEって文字をとにかく書くんだけど、かっこいい文字がないかスマホで調べていたら、サインペインティングという世界と出会った。それをしているヤツらが腕に入れ墨して、おしゃれなハットかぶってめちゃめちゃかっこいい。イギリスやアメリカにはサインペインティングというカルチャーがあったけど、日本にはまだないことを知って、瞬間的にやろう!と。それが5年前ですね。

佐 野 | そこから……

田 辺 | 言葉は分からないけど、海外のYouTubeを見て独学。アートの世界で生きてきたわけじゃないから、筆の使い方とか間違っている部分があるかもしれないけど、仕上がったものを見て、オーダーした人がかっこいいと思ってくれればいいのかなと。

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佐 野 | 田辺さんの子どもの頃ってどんな感じだったの?

田 辺 | 実はずっとレースをやっていたんです。バイクとカート。小学校3年生のときに、親父がポケバイを持ってきて、よしやるぞと。もう無理矢理(笑)

佐 野 | 僕も、親父がバイク屋ってのもあるけれど、小学1年のときに与えられたのがポケバイと三輪バギーだった。与えられたおもちゃが同じだったってのは面白いね。

田 辺 | それから高校3年までレース三昧。高校を卒業したらレーシングチームに入る予定だったんだけど、バブルが弾けてそれもなくなって。小学校のときの夢がF1レーサーだったけど、やりきった感もあったのですっぱり諦め、親父にお願いして、東京で半年ほど過ごしました。で、その冬にスノボに出会うんですね。91年とかだから、オリンピックの種目にもなっていなくて、スキー場でリフトを待ってると、それなんですか?と聞かれるくらい誰も知らない。当時、アメリカやヨーロッパではバリバリかっこいいスノーボーダーがいて、彼らにシンパシーを感じて、俺もやるしかないなと思って始めたんですね。人口が少ないこともあって、プロボーダーとしてそこそこまでいきましたよ。

佐 野 | アンテナが高いんだ。流行ってる、流行っていない関係なく、人があまりやっていないものを自分の中で面白いと思えるタイミングが非常に早いよね。今は4xCとのつきあいだけだけど、新築一軒家を建てるSelect工房に感じる楽しさってある?

田 辺 | 建築の人たちと知り合って話をし始めたのはここ数カ月ですが、俺がしてきたスケボー、サーフィン、スノボという横乗りの感覚から見たら、まだまだすき間だらけ。もっとこだわれるし、まだまだやれることはいっぱいありますね。

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